COLUMN

訪ねてみたい旧街道 7

 交流新時代の到来とともに、昔からの地域らしさを伝える街道が全国で注目されています。
 太平洋新国土軸を構成する18府県には、今も数多くの旧街道が残り、交流の歴史を今に伝えてくれています。
 今回は歴史ロマンあふれる剣豪の道・柳生街道をご紹介します。

柳生街道(奈良県奈良市)
 柳生街道は、奈良市東北部にある「柳生の里」と奈良市街地を結ぶ約21kmの道です。「柳生の里」は、徳川将軍の兵法指南役として有名な柳生一族のふるさとで、ここから徳川三代将軍に仕えた柳生宗矩や、柳生十兵衛など名を馳せた多くの武芸者たちが巣立っていきました。
 東海自然歩道に指定されている柳生街道は、柳生の里〜円成寺までと、円成寺〜奈良町までの滝坂道とに二分されます。柳生の里には、柳生一族の系譜や資料が展示されている旧柳生藩家老屋敷や、柳生陣屋跡、十兵衛が10年間に及ぶ諸国漫遊の旅に出かける際に祈願して植えたと言われる枯杉が残っています。作家・山岡荘八は、この里でNHK大河ドラマ「春の坂道」の原作を練ったと言われています。一方、滝坂道には柳生の名刹・円成寺や、街道唯一の茶屋が残る石切峠、江戸時代に奈良奉行所が整備した石畳など、歴史的に魅力ある資源が続きます。
 古来、春日山への信仰の道であった柳生街道は、奈良時代には平城京へ塩などの物資を送る生活の道となり、東国への近道として利用され、江戸時代には隠密とも忍者とも称される柳生一族に全国から情報を伝える道へと、時代によって変貌を遂げてきました。現在は、歴史ファンとハイキングで訪れる人に、ロマンと憩いを与える道となっています。

奈良県(柳生)の地図 柳生街道の絵巻地図 旧柳生藩家老屋敷の写真
旧柳生藩家老屋敷
滝坂の道の写真
滝坂の道



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