COLUMN

前略 みなさま私たちの地域では、こんな交流・連携やってます。 交流・連携
こんなことやってます!
太平洋新国土軸発交流・連携のヒケツ教えます

 太平洋新国土軸をつくる18府県。そのつながりは、海の道、山の道を通じて、地名や伝統芸能などに残されています。しかし、つながりがあるだけでは始まらないのが交流・連携。いったい何を目的に、どういうことをやっているのでしょう?ここでは、元気の出る地域づくりを目的に、広域的な活躍をしている住民の方々をご紹介しましょう。

第2話 東九州軸地域の巻
青の洞門(本耶馬渓町)の写真
青の洞門(本耶馬渓町)
「県境を越えて、綱引きをしてみませんか?」大分県と福岡県を流れる山国川。ここを舞台にユニークなイベントを開催し、行政区分を越えて、地域の人たちが元気になる活動を行っているのが『特定非営利活動法人 豊前の国建設倶楽部』です。大分県中津市にある事務局の代表者・木ノ下素信さんにお話をお伺いしました。


活動を始めたきっかけを教えていただけますか?
木ノ下さん:私は、大分県が一村一品運動を進めるために開催した地域づくり塾の一期生なんです。その頃から自助努力による地域づくりが求められていましたが、本当の地域活性化のためには、自分の町だけではなく、行政区分を越えた協力・競争が必要と考え、町を流れる山国川を使っての綱引きイベントを行いました。

どのようにして参加する人を増やしたのですか?
木ノ下さん:明治時代まで山国川の流域地域は「豊前の国」という一つの国でした。それが、今は行政区分によって区切られてしまった。隣同士なのに、情報も人の行き来も背中合わせ。それを、遊び心でもって民間の力で崩そう、と呼びかけ、イベントを行いました。イベントには自然発生的に人が集まりました。ポイントは、自由に、遊び心を持って、誰もが参加できるように「この指止まれ」方式にすることだと思います。

他の地域の人たちと交流するメリットは?
木ノ下さん:それまで自分の地域のことも、隣の町のことも考える習慣がなかった人たちが、考え、行動するようになったことですね。最近は、宮崎県と鹿児島県の県境で、電話の局番が同じになったことがきっかけで活動している「拾円玉生活圏フォーラム0986(まるくやろう)会」(宮崎県都城市)などとも交流しています。逆に、不便なこともありますよ。倶楽部は大分県1市1町1村、福岡県1市3町2村を巻き込んで広域的に活動をしていますが、補助金の申請や団体が表彰される時には、市町村単位となり、窓口となるところがない。行政で「広域」と言いながら、諸手続には行政区分が立ちはだかります。しかし、自由に活動できますね。

広域交流による、最終目標は何ですか?
木ノ下さん:住んでいる人たちが、地域のことについて行政と対等なレベルで提案できるようにすることです。今までは、みんな文句は言うけど意見は言わない。それよりも、行動してみせて、「もっとこうすればいいんじゃないか」と考える機会を設けることが大切です。


山国川の下流の写真
山国川の下流
特定非営利活動法人豊前の国建設倶楽部
  • 昭和61年設立。大分県中津市に事務局を持つ。
  • 山国川流域の市町村(福岡県・大分県)を舞台に、水上綱引き合戦、河川クリーンアップ、地域を考えるツアー、生物観察などの活動を行う。
  • 「地域づくり団体自治大臣表彰(平成6年)」「大分県一村一品21推進顕彰功労賞(平成13年)」などの表彰を受ける。
  • 環瀬戸内地域の河川清掃キャンペーンなどに参加。



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