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訪ねてみたい旧街道 11

 昔から道があるところには、人と文化の交流が育まれてきました。太平洋新国土軸を構成する18府県には、今も数多くの旧街道が残り、交流の歴史を今に伝えてくれています。今回は、金毘羅街道(高松街道)です。

【金毘羅街道】(高松街道)香川県高松市〜琴平町
金刀比羅宮の写真
金刀比羅宮(琴平町)
 ♪こんぴら船々 追風に帆かけて シュラシュシュシュ♪ 江戸末期から明治初期にかけて流行したこの歌で有名な海の神様・金刀比羅宮。ここに向かう道は、すべて「金毘羅街道」と呼ばれてきました。大阪から船で向かった丸亀や多度津、また伊予や土佐など各地から道が通じ、四国では「全ての道はこんぴらさんに通ず」と称されたと言います。
 その中で、高松街道と呼ばれたのが旧国道32号。阿波方面からの参詣者に利用されてきた道です。高松藩主・松平頼重も参詣したと言われる街道沿いには、金刀比羅宮までの道のりを示した道標や灯籠が残り、風情あふれる歴史の道となっています。道中の綾南町・滝宮は、古くは菅原道真が国司として居住し、こんぴら参詣者の宿泊地としても栄えてきた町です。現在は、道の駅「滝宮」でほっと一息。讃岐うどんの発祥の地とも言われる所だけあり、手打ちうどんの体験ができます。
 滝宮を過ぎ、最後の難関・本宮への785段の石段を克服すると金刀比羅宮です。お参り後は、かつての賑わいを体験できる「金毘羅大芝居」へ。日本最古の現存する芝居小屋での公演は、井原西鶴の「好色一代男」にも記され、上方や瀬戸内の各地に広く知れ渡っていたと言います。近年復活した芝居は現在も大人気で、毎年春の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」には全国から多くの人が駆けつけます。

金毘羅街道の地図 金毘羅大芝居の写真
金毘羅大芝居(琴平町)

参詣者の休憩所・金比羅宮の写真
参詣者の休憩所・金比羅宮
(綾南町滝宮)



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