訪ねてみたい旧街道 15
昔から道があるところには、人と文化の交流が育まれてきました。太平洋新国土軸を構成する17府県には、今も数多くの旧街道が残り、交流の歴史を今に伝えてくれています。今回は、松山街道です。
【 松山街道(高知市〜松山市) 】
松山街道は高知から松山に至る道で、松山では土佐街道と呼んでいました。一部改修された部分もありますが、概ね現在の国道33号に相当します。高知から松山まで駆け足でご案内しましょう。
高知を出発すると、まもなくいのに着きます。いのは白壁の古い町並みが残る土佐和紙発祥の地です。いの町紙の博物館では手漉き体験をすることもできます。続いて越知です。平家物語によると、安徳天皇は壇ノ浦の戦いで平家一族とともに入水されたと伝えられていますが、越知には宮内庁所轄の安徳天皇陵墓参考地があります。屋島の合戦後、阿波国から四国山地を転々とされ、越知の横倉山に潜幸されたと言われています。
県境を越えて愛媛県に入ると、久万高原です。ここは杉や檜の産地で、木造の町立久万美術館では、村山槐太、岸田劉生など明治・大正時代の名画をゆっくり楽しむことができます。久万高原から標高720mの三坂峠を越えると、焼物で有名な砥部に入ります。街道沿いには、藍が美しい砥部焼きで彩られた案内板や橋が目に付くようになります。ここまで来ると、松山は目の前です。道後温泉は、日本最古の温泉で3000年の歴史を持つといわれています。道後という言葉は、大化改新で国府が置かれ、国府を中心として、京に向かって国府の前部が道前、国府の後部が道後と呼ばれたことに由来するそうです。夏目漱石や正岡子規に思いを馳せながら、道後温泉に入って、旅の疲れを癒すのはいかがでしょうか。
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久万美術館(愛媛県久万高原町) |
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道後温泉本館(愛媛県松山市) |
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砥部焼伝統産業会館(愛媛県砥部町) |
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いの町紙の博物館(高知県いの町) |
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