COLUMN

前略 みなさま 私たちの地域では、 こんな交流・連携やってます。草々 交流・連携
こんなことやってます!
太平洋新国土軸発交流・連携のヒケツ教えます

 太平洋新国土軸をつくる18府県。そのつながりは、海の道、山の道を通じて、地名や伝統芸能などに残されています。しかし、つながりがあるだけでは始まらないのが交流・連携。いったい何を目的に、どういうことをやっているのでしょう?ここでは、元気の出る地域づくりを目的に、広域的な活躍をしている住民の方々をご紹介しましょう。

第4話 紀伊半島横断軸の巻
伊勢街道フォーラム2000の写真
「伊勢街道フォーラム2000」
(平成12年11月19日)
 奈良県五條市は、江戸時代に伊勢街道、西熊野街道、紀州街道など様々な街道の要衝地として栄えたところ。中でも新町通りは、約1000mに79棟の古い家並が続き、その古さと長さで日本一と言われています。宿場町、市場町として発展してきた五條で、古さの中に新しいまちの息吹を生み出している元気なグループが「新町塾」です。代表世話人の山本陽一さんにお話をお伺いしました。


「新町塾」と言えば、フリーマーケット「かげろう座」の活動が有名ですね。
山本さん:おかげさまで、年々たくさんの人が県内外から集まってくれるようになりました。今年は、約400の出店があり、3万8千人の人が五條を訪れました。

最近の活動を教えていただけますか?
山本さん:11月に、旧伊勢街道の沿道地域(和歌山県、奈良県、三重県)の地域づくり団体が集まって「旧伊勢街道を活かした地域づくり交流団体」を開催します。隣の和歌山県橋本市からなど、参加団体も増えています。最近では、2つ新しい活動を始めました。新町塾も関わっている事業ですが、一つは、国道168号の歩道整備に伴い、あさがおを植えて「あさがお通り」をつくる活動、もう一つが奈良県から和歌山県にかけて流れる吉野川(紀ノ川)にもっと目を向けて親しもうと、古事記や日本書紀にも描かれた伝統的な漁法・ヤナ漁を復活させる活動です。吉野川で取組が始まった「水辺の楽校」の一環でもあります。

道も川も隣町とつながっているものですね。
自分の町を越えて、他の地域の人たちと交流するメリットは?

山本さん:生まれ育ったところによって一人一人の考え方はみんな違います。交流をすることで、違う視点や考え方を「学ばせていただく」。これがメリットになると思いますね。交流をしないということは、「井の中のかわず」と同じだと思うんですよ。だから、五條にいる「他の目を持った人」も大切にします。例えば、五條以外で生まれ育った新聞社の記者の方とか、転勤の多い銀行マンの方とか。客観的に見ることで、井の中から放り出してもらえる。地域をよくしていくためには、交流はせんといかんでしょうね。

交流を続け、活動を大きくしていく秘訣は?
山本さん:人間、しんどかったら続きませんね。楽しんでやらないと。ヤナ漁だって、釣り好きのメンバーが、お金のことなど関係なしに楽しんでやっているんですよ。交流を続けていく上では、とても大切なこと。

 「来た人にとっても、住んでいる人にとっても、少しでも良い町にしていこう」。山本さんたち市民のみなさん情熱は、企業を動かし、行政を動かし、まちづくり、道づくり、川づくり、人づくりへと、大きく広がっています。さすがは五條、明治維新のきっかけとなった天誅組の遺伝子が受けつがれているのかも?と思ってしまうほどのエネルギー。まさに「紀伊半島に、この人あり!」

新町塾(しんまちじゅく)
  • 平成2年、奈良県五條市に発足。
  • 勉強会や、町並み保存活動を行うとともに、かつての町のにぎわいを再現しようと、毎年フリーマーケット「かげろう座」を開催し、平成14年度の集客は約3万8千人。
  • 紀伊半島を横断する伊勢街道(大和街道)沿道地域で和歌山県、三重県のまちづくり団体とともに「旧伊勢街道を活かした地域づくり交流会議」を開催し、交流を深めている。



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