生まれ育った街、好きですか? 映画 「いずれの森か青き海」
三重県四日市市
自分の街を好きになれない少女が、アメリカのペンフレンドが来日するという出来事をきっかけに、自分のことや街のことを見つめ直すというストーリーの映画です。 |
■公害の街ですか・・・
三重県四日市市。国際港湾を抱えるこの街に電車が近づくと、海岸に立ち並ぶ巨大コンビナートから立ち上る煙が見えます。この映画は、そんな街で育った一人の少女が主人公です。映画の監督は、瀬木直貴さん。四日市の出身です。大人になり、出身地を尋ねられた監督が四日市市と答えると、「ああ、公害の街ですか・・・」。瀬木監督自身、自分の育った街について、あまり良い印象がなかったそうです。
■PFY(プチフィルムコミッション)
市役所の政策課で吉田政策推進監にお話をお伺いしました。「臨時でP F Y(プチフィルムコミッション四日市)を立ち上げて、職員もエキストラの手配などのお手伝いをしました」。瀬木監督の同級生や、商店街、PTAやNPOの方々など、市民の皆さんも「上映実行委員会」をつくって支援をされてきたとのこと。市役所でも、タバコ屋のオヤジ役をした課長さんなど、役者さんにお会いすることができました。
全国に先駆けて行われた試写会では、支援してきた市民の皆さんが感激して涙を流す一幕もあったそうです。
「映画って畑違いのことで、最初は抵抗もありましたが、関わっている内に盛り上がってきましてね」という吉田推進監の言葉に、市民の皆さんの心が反映されているようでした。
課長さんはタバコ屋さんの役
■旧港
ロケ地を探して、海岸沿いに出かけてみました。道路を大きなコンテナ車が行き交うようになると、かすかに潮の香りが漂ってきます。『旧港』と地元の方々が呼ぶあたりには、レトロな倉庫が建ち並んでいました。倉庫で忙しく働いていた方にお尋ねすると、「まさかね、ここが映画の舞台になるとは思わなかったねー」。
旧港の倉庫群
■歴史の街・四日市宿
海岸から駅に向かって歩いていると、古い町らしく和菓子屋さんが目立ちます。工業都市・四日市は、古くは東海道の宿として栄えてきた街でもあります。鉄道の駅から10分も歩けば、歴史ある格子戸の町並みが迎えてくれます。あまり広くはない旧街道の道端で、自転車に乗ったお巡りさんが近所のおばあちゃんと話をしている風景がしっくりくる、優しい町並みでした。
旧街道の町並み
■あなたの街、好きですか?
昔、教科書で見た四日市の空。今は、地域の方々の努力で、とても美しい青空となっていました。
今は九州で新たな映画づくりに取り組んでいらっしゃるという瀬木監督、お尋ねしてみたかったです。「映画をとってみて、ふるさとの街、好きになりましたか?」
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