[太平洋新国土軸追跡調査隊]

国産紅茶復活への道 紅茶のイラスト
 太平洋新国土軸地域で生産された製品は、どのようにして私たちの手元に届くのでしょう?生産から消費までの旅を追跡してみました。
紅茶の国内生産
 全国各地にお茶どころはありますが、紅茶と言えば輸入のイメージが強いかもしれません。しかし、国内で紅茶が作られ始めたのは明治時代と歴史は古く、太平洋新国土軸にとっても縁の深い地域が数あるのです。長い鎖国が解かれた明治時代、生糸と共に日本の代表的な輸出品として茶の生産が奨励され、熊本県、大分県などで試作が始められました。その後、欧米向け紅茶の生産技術を本格的に学ぼうと政府が派遣した技術者が静岡県在住の多田元吉。彼は持ち帰った技術を三重県、高知県など各地へ伝え、東京、静岡、福岡、鹿児島などに設けられた紅茶伝習所で作られた国産紅茶は、神戸港、横浜港から海外へ輸出されるようになったのです。
紅茶の道の図

国産紅茶復活への道
 昭和30年代から40年代にかけて、日本の紅茶づくりは最盛期を迎えます。静岡県では、掛川市をはじめ、国内生産量の90%以上を担うまでに紅茶づくりが盛んになっていったのです。その後、世界各地での競争が激しくなり、衰退の道を歩み始めた国産紅茶でしたが、最近再び静岡県や鹿児島県、佐賀県、熊本県などで国産の紅茶づくりが始められています。
国産紅茶園の写真
静岡県の国産紅茶園(静岡市)
【写真:関東農政局】

紅茶の
 生産量は少ないながらも復活の兆しをみせる国産紅茶は、どのようなルートで消費地へ運ばれているのでしょう?現在、国内で生産されている紅茶の多くは無農薬。ホームページなどで掲載すると、全国から問い合わせがあるそうです。木箱や缶詰で梱包された製品のほとんどは、宅配便などで主要高速道路を通り、各地へ運ばれるとのこと。外国産の紅茶が船で長い時間かけて運ばれてくるのに対し、国内産の紅茶は香りを逃がすことなく運ばれる体制が整えられているようです。

紅茶の消費量日本一
 全国の県庁所在地の中で、紅茶の年間消費量(1世帯あたり)が最も多いのが兵庫県神戸市。昭和45年頃からずっと全国1位の座を守ってきた紅茶大好きの町です。年間に全国平均の3倍以上の紅茶を楽しむ神戸市は、食パンの消費量も日本一だそうで、早くから西洋風を取り入れてきた港町ならではの食文化がうかがえます。香り高い伝統の日本産紅茶がますます復活するのが待ち遠しいですね。
家庭での年間紅茶消費量のグラフ



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