[太平洋新国土軸追跡調査隊]

銘木吉野杉はゆく 鳥のイラスト 木のイラスト
 太平洋新国土軸地域で生産された製品は、どのようにして私たちの手元に届くのでしょう?生産から消費までの旅を追跡してみました。
日本三大美林吉野杉
奈良県の南半分を占める吉野郡。その周辺で生産される良質の木材が吉野杉です。日本三大美林の1つである材は、その緻密な年輪と美しい木目で銘木として名高く、日本家屋の大黒柱や高級料亭の床柱として珍重されてきました。
古くは豊臣秀吉の大阪城・伏見城の築城のためにはじまったという吉野地方の植林は、江戸時代になると、幕府への搬送や兵庫県の灘でつくられる清酒の酒樽用として急激な需要増に対応し、盛んとなっていきました。銘木を育て、搬出する技術は、山師・筏師と呼ばれる技術者によって伝播され、徳島県の木頭杉、高知県の魚梁瀬杉など、全国各地の美林造成にも貢献したと伝えられています。
吉野杉
地図

材木も通販の時代
そんな吉野杉も、明治以降は鉄道や道路網の整備が遅れたことにより、東北材に追われることとなります。ところが、近年では再びその質の高さが見直され、主に首都圏でのおしゃれなレストランやマンションなどで吉野杉を用いるところが増えていると言います。 首都圏からの主な注文方法は、何と通販。木材もインターネットや通信販売で購入する時代となっているのです。
通信販売
川を使って搬出
明治〜大正期には
川を使って搬出。
筏師の腕の見せ所だった
(奈良県東吉野村)

昔 吉野川、今 高速
通販の時代に一番変化したこと、それは納期だと言います。オーダーした人の多くが、翌日配達を希望するというのです。かつては、吉野川・紀ノ川を用いて筏流しで和歌山へ搬出され、船で大阪から江戸へ運ばれていた吉野杉。今や少しでも早く届けることを目的に、ヘリコプターで集材され、高速道路で搬送されています。奈良県は、全国で最も高速道路の延長距離が短い県。それでも顧客のニーズに応えるため、夕方にはトラックが出発し、翌日午後には東京に届く仕組みが整えられています。

都会がもっと近くに
各地の特産品、地方ブランドを支えているのは、積極的な商品開発と情報発信だけではありません。交通インフラの整備は、全国至る所からの注文に素早く応えることができるか否かの重要な鍵を握っているのです。
「道が良くなってほしいですね。吉野杉は東京方面からのニーズも高いですから」吉野町の担当者の方の言葉が耳に残りました。都会のおしゃれなお店で目にした吉野杉。その裏には、良いものを早く届けようとする多くの人の努力があることを知ってもらいたいと願う道でした。
今はトラックで搬出
今はトラックで搬出。集積センターへは、
バイクも追い抜くことができないほど
狭い道をゆく(奈良県天川村)
吉野杉の樽
愛知県の特産・八丁味噌も
吉野杉の樽でつくられる
(愛知県岡崎市)



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