ロケ地探訪

黄泉がえり
映画 「黄泉がえり」
熊本県阿蘇町

長崎ぶらぶら節
2003年1月に公開された映画「黄泉がえり」は、亡くなってしまった人が、「もう一度会いたい」と強く願う人々の前にほんの短い期間だけ甦るという不思議なストーリーです。この映画の撮影舞台となった阿蘇の大自然を訪ねました。


■大切な人にもう一度会いたい
 映画「黄泉がえり」の原作は、熊本県出身の作家・梶尾真治さんの小説です。地元の新聞・熊本日日新聞がSF作家として活躍している梶尾さんに「大人から子どもまで楽しむことができる作品を」と依頼し、掲載されたものをまとめたもので、書店では“SFコーナー”に置かれていました。
 ストーリーは、ある日をきっかけに、亡くなった人が次々と甦り、会いたがっていた人のもとに現れるという不思議な展開です。映画では、SMAPの草g剛さんが主人公の平太を、女優の竹内結子さんが幼なじみの葵を演じました。

町内には「ロケ地ガイド」の看板  手づくりのマップと説明書で
ガイドスタート(熊本県阿蘇町)

■案内人と歩く内牧温泉
 小説の舞台は熊本市内ですが、映画では阿蘇町をはじめ、熊本の大自然がロケ地となりました。阿蘇町には、地域の良さを大いにPRしようと地元有志の方々で発足したガイドの会「うちのまき案内人協会」があります。約束の時間より、少し早めに待ち合わせ場所に来てくださったのは、代表の井野さん。
 早速、手づくりの「黄泉がえりロケ地散策マップ」と「町湯マップ」をいただき、約90分にわたるロケ地巡りのスタートです。

■ロケ裏話に大笑い
 地図を片手に雲に隠れそうな阿蘇の山々を眺めながら、主役2人が並んで歩いた道へ。「ここは勝手に名付けて『黄泉がえりロード』。本当は草千里で撮影するはずだったんですけど、あの年は雪が降ってね。急遽ここで撮影することになったの。」撮影の裏話をお聞きしながら、ゆっくり内牧を巡ります。「このシーンを撮っていた時は、ちょうど選挙でね。主役2人が話をしながら歩いているバックには、実は選挙カーが広報しながら走っていたわけ。」

町内には「ロケ地ガイド」の看板  「明日みんな消える」
少年が平太に告げた階段(阿蘇町)

 次々と明らかにされるロケの秘話に大笑いしながら、商店街のお菓子屋さんに立ち寄って試食をしたり、町内に9軒あるという町湯をのぞいてみたり。まるで、地元出身の友達と歩いてみて回っている楽しさを味わうことができました。「内牧の町湯はね、全部湯質も違うし、温度も違うの。」と井野さんが太鼓判を押す町湯は、大人100円〜400円までと手頃な値段。「地元で管理しているんだけど、無人の所は入口の箱にお金入れるわけ。悪い人なんていないって、みんな信頼してるからね。」

町内には「ロケ地ガイド」の看板  レトロな田町温泉は入浴料100円

 全国から来られる人と出会うのが楽しくて仕方がない、といった案内人さんの笑顔を胸一杯いただき、あっという間に90分が過ぎてしまいました。帰ってから再びマップを見てみると、そこには「町をめぐる!人をめぐる!お湯をめぐる!」の文字が。いつまでもほっこり暖かい気持ちが続いていたのは、お湯の温かさに加えて、『人をめぐる』で出会えた人々の暖かい心のおかげかもしれない、そんなすてきな町でした。



前項へ 表紙へ戻る 次項へ