道の風景

【奈良県吉野町】
〜町を彩り、人を癒す道の演出〜

松本峠入口

吉野山灯りコンテスト
地域の特産品である吉野杉等を用いて、全国から灯りづくりを学ぶために訪れた人たちの作品が町並みを照らす夏の人気行事です。ほのかな灯りが吉野の道々を照らし、ひと味違った雰囲気が町歩きを楽しく演出してくれます。


 「地域の産品を活かし、桜の時期以外にも多くの方々に来て頂けないか」。桜で知られる奈良県吉野町で、そんな取り組みが始まったのは平成10年のことでした。吉野町、商工会、森林組合の皆さんが力を合わせて、全国から「塾生」を募集し、照明デザイナーの先生の指導による「灯りづくり」の講座を開催したのです。



 「意外と遠くからもお越しなんです。東京、愛知、姫路…皆さん熱心に通って下さっています。」と町役場の方が話されるように、5月になると塾生は全国各地から集まってきます。当初は50名前後であった参加者も年々増え、平成17年には70名を越えるほどになりました。地元で育てられた吉野杉やヒノキ、和紙などを用いた芸術品がだんだんできあがっていきます。



 塾生が作り上げた力作は、毎年夏に開かれる「吉野 山灯りコンテスト」で展示されます。この時期、吉野町上市の旧道は、およそ100基の幻想的な灯りで彩られることとなります。いつも見慣れた風景とは違い、ほんのりとした灯りでライトアップされた道には町内外から多くの人が訪れ、夏の夕べを楽しむ姿が見られます。



 平成14年からは子どもたちを対象とした「Jr山灯り塾」も始まり、未来の吉野町を担っていく子どもたちに地域の伝統と新たな取り組みを引き継いでいく取り組みも始まっています。



 車や人を通行させるだけではない、人を「癒し」、「楽しませる」ための道の演出に取り組む人たちがいる、特産品に新たな命を吹き込み、地域の町並みを大事にする奈良県吉野町の取り組みです。

山灯りコンテストに合わせて、関連イベントも多数開催される。なつかし町並みに多くの人が集う。 山灯りコンテストに合わせて、関連イベントも多数開催される。なつかし町並みに多くの人が集う。

吉野杉が育てられている森を見学し、作品づくりがスタート。 吉野杉が育てられている森を見学し、作品づくりがスタート。


前項へ 表紙へ戻る 次項へ