ラストサムライ
映画 「ラストサムライ」
兵庫県姫路市
時を越えて佇む圓教寺にハリウッドがやってきた。
トム・クルーズが「サムライ魂」を見事に演じ、絶賛された映画「ラストサムライ」。今回は、このハリウッド映画の撮影舞台に選ばれた兵庫県姫路市を訪ねました。 |
■この人のひとこと
世界遺産・姫路城に向かう道沿いにある姫路観光なびポートに併設されている「姫路フィルムコミッション」。こちらの田中富美子さんは、「ラストサムライ」の影の立役者として活躍された方です。
エドワード・ズウィック監督が姫路を訪れたのは平成13年7月。ハーバード大学でライシャワー氏の話を聞いて以来、日本に深い興味を持ったという監督と、スタッフが「日本研究のため」訪れた姫路城を案内した田中さん、新幹線までの時間に、他にも姫路の良さを知ってもらいたいと案内したのが書写山圓教寺でした。
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この方の一言に感謝。
姫路FCの田中さん |
室町時代の風合いがそのまま残るお寺に着いたとたん、「監督の目の色がね、変わったんですよ。じーっとお堂を眺めて」。その2ヶ月後、姫路ではフィルムコミッションが設立されますが、アメリカでは9.11テロが起こり、映画どころではない雰囲気に。そのため、「翌年2月にロケハンの電話があったときには、びっくりしました!」と田中さん。以来、35回に及ぶ下見や調整に関わり、10月には5日間のロケが行われることとなったそうです。もし、新幹線まであまり時間がなかったら、もし田中さんが圓教寺に案内していなかったら、と思うと「ラストサムライ」の見方も変わってくるようです。
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姫路なびポートに来て、「ラストサムライ」の舞台を知り、驚く人も多いとか。
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■「サムライ魂」を彩るお堂
セミを探しに来たという親子と一緒に市営ロープウェイで山に上がると、そこが西国三十三ヶ所巡りの二十七番札所として知られる圓教寺です。気持ちが引き締まる凛とした静けさが広がり、撮影時に250名ものスタッフがいたとは想像できないほど。渡辺謙さん演じる勝元の住居として登場した食堂(じきどう)の1階は、光と影のコントラストが美しい写経場でした。「そこが渡辺謙さんが座っていたところ。はい、筆持って」とお寺の"監督"から演技指導が入ったりして、俳優気分を楽しむおまけ付きです。エキストラとして出演されたお坊さんにもオーディションがあったとか。「昔は年配の方が多かったんですけど、今は若い方や外国の方も増えました。秋にまたいらっしゃい。ここは秋がすばらしいんです」と目を細めて話して下さいました。
■すばらしかったもの? 人です!
ひぐらしの声の中を歩いていると、「暑いですねー」と声をかけてくれた「はずき茶屋」の方。撮影時にトム・クルーズの控え室だったという部屋でお抹茶をいただき、ロケの様子や素顔のトム・クルーズの写真を拝見。一番目を引いたのは、ロケに携わった全員で写した1枚です。そこには、俳優やハリウッドから来たスタッフ、お寺の方々、フィルムコミッションや市の担当者などが笑顔でずらり。チームとして作り上げられたということがよくわかる1枚です。
姫路での撮影を終え、「日本ですばらしかったものは?」と聞かれたトム・クルーズは、「The People!」と答えたとか。町全体でロケを支える雰囲気作りをしてきた姫路の方々への感謝の気持ちが詰まった一言です。これからも、TV で映画で目にする姫路の景色が楽しみ、そう思わせる町でした。
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はづき茶屋の写真は必見! |
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姫路観光なびポートに飾られているカチンコ(本物!) |
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