文学散歩

織田作之助「夫婦善哉」の舞台を訪ねて
趣のある法善寺横町
趣のある法善寺横町

織田作之助はんは、大阪を愛し、大阪の庶民の生活を描き続けた作家やと言われてはります。ほな、オダサクの代表作「夫婦善哉」ゆかりの地をぶらぶらしましょか。

●夫婦善哉、知ってはりますか?●
 「夫婦善哉」は、大阪キタの化粧品問屋の放蕩息子で妻子のある柳吉と、元芸者でしっかり者の蝶子との流転の物語ですわ。二人は黒門市場の路地裏で間借りして生活をはじめるんやけど、勘当された遊び人の柳吉には収入などあらしまへん。蝶子がヤトナ(臨時雇で宴会や婚礼に出張する有芸仲居)になって生活を支えます。でもな、蝶子がどんなに生活を切り詰めて貯金しても、柳吉が芸者遊びなどに金を使うさかいに、ごっつい苦しい生活が続きます。それでも蝶子は柳吉を一人前にしてみせる言うて、剃刀屋、関東煮屋、果物屋、カフェと次々に商売をはじめるんやけど、柳吉は改心せえへんから、また苦しい生活へと追い立てられていきます。そやけど、二人には暗さがないんです。感心しますわ。
  物語は、最後に柳吉が「どや、なんぞ、う、う、うまいもん食いに行こか」と蝶子を誘うて、法善寺境内の「めおとぜんざい」に行き、その後も二人が生活を共にしていくことがユーモラスに描かれているんですわ。
法善寺境内のぜんざい屋さん 法善寺境内のぜんざい屋さん


●風情ある法善寺横丁●
 法善寺横丁と言えば、大阪ミナミの顔。細い路地には藤山寛美はんが書いてくれはった「法善寺横丁」の看板がかかり、石畳の両脇には小料理屋さんがひしめいています。横丁の中程に、早世した織田作之助はんの文学碑がひっそりと建っています。「行き暮れて ここが思案の 善哉かな」
  この横丁にある水掛不動尊は、商売繁盛、恋愛成就、家内安全などすべての願いを叶えてくれるとえらい評判で、いつもぎょうさんの人が並んではります。
苔むしたお不動さんは、今日も水をかけられ少し寒そう 苔むしたお不動さんは、今日も水をかけられ少し寒そう
 そのお不動さんの隣にあるのが「夫婦善哉」に出てくるぜんざい屋さんですわ。10人ほどで満員になる店内に入ると、注文は必要なく、一人前二椀の「めおとぜんざい」が運ばれてきます。ご夫婦、若いカップル、年配の方などいろんな人が味覚と情緒を楽しんではります。
一人前二椀の「夫婦善哉」 一人前二椀の「夫婦善哉」


●混沌の中のエネルギー●
 法善寺横丁から一歩出ると、ごっつい賑やかになりまっせ。「夫婦善哉」では、うまいもんは何と言ってもミナミの下手(ゲテ)もの料理に限る言うてますけど、今は道頓堀や千日前界隈にはたこ焼き、お好み焼き、かに、ふぐ料理、串カツ、寿司、ラーメンなど食べ物屋さんが並んでます。道頓堀の南側には角座、中座、松竹座などの劇場があって、いろんな国の人たちがみんな笑顔で歩いている、そんなとこですわ。
大阪のエネルギーがつまった道頓堀界隈 大阪のエネルギーがつまった道頓堀界隈

 道頓堀らへんはいろんなものが混じり合うて、そら大阪らしいエネルギーが感じられる所ですわ。待ってるさかいに、まあ一度お越し下さい。あっ、そこのベンチでたこ焼きを食べてはるお二人さん。た、た、たこ焼きは二本のつまようじで食べるのが大阪の流儀やで。どうでもええことやけど。まあ、おせっかいも大阪名物、お土産に持って帰り。
タコ焼きには長蛇の列 タコ焼きには長蛇の列



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