ロケ地探訪

村の写真
映画 「村の写真集」
徳島県池田町

高橋写真館
高橋写真館

映画「村の写真集」は、徳島県西部の山間部、池田町、山城町、西祖谷山村などを舞台に、村の古い写真館の家族を中心として、人と人のつながりの大切さを教えてくれる作品です。今回は、晩秋の池田町を訪ねました。


■歩いてこそ見つけられるモノがある
 ストーリーは、ダム建設により村が変わろうとしている中、村は写真集づくりを古い写真館の父親に依頼するところから始まります。父親は、東京に憧れて村を後にした写真家志望の息子を助手として指名しますが、3年ぶりに村に戻った息子は、田舎が嫌で、村の人も景色も撮る気になれません。山道を歩いて一軒一軒を訪ねて人の写真を丁寧に撮る父親のやり方にも反抗し、もっと能率よく写真をとることを主張します。
 しかし、父親と一緒に村を回って丁寧に写真を撮るうちに、歩かなければ見えてこないものを見つけ、次第に父親のやり方を理解し、能率よりも人の表情、人の心を写真におさめることが大事だと思うようになります。
村の古い写真館 村の古い写真館
(池田町の旧大利郵便局)

■こんな所で映画を撮るの?
 「三原監督がこの地域をロケ地に選んだのは、山の上の方にも家がある風景が映画のイメージに合ったからだと聞いています」と、池田町商工観光課の大境さんと山本さん。お二人とも、最初にここで映画を撮ると聞いた時には「えっ、こんな所で?」と思ったそうです。映画で写真館となっていた旧大利郵便局の建物も、山間地の川崎地区から吉野川を見下ろす眺めも、地元の人にとっては当たり前の風景。しかし、その風景が、スクリーンの中ではとても魅力的で大切なものとして描かれている、それに気づかされたことは大きかったと言います。
池田町川崎地区からの眺め 池田町川崎地区からの眺め

■地域に入り込んで
 父親役で主演の藤竜也さんは、この映画の出演が決まってから、役づくりのために自分の車で山あいの集落を回り、地元の人たちと触れあいながら徳島弁も学んでいたと言います。「寡黙だけど気さくな人でした」と大境さん。また、この作品に欠かせない写真は、徳島出身の写真家・立木義浩さんがロケ後も地域を訪れ、撮影したとのこと。
 映画のモチーフそのままに、「人の心を写し撮った」写真の数々は映画の最後に映し出され、見ている方にも温かい余韻を残してくれます。
池田町商工観光課の大境さん 「映画で藤さんが運転した軽トラックは私のなんです」
と語る池田町商工観光課の大境さん

■今も続く人と人のつながり
 この映画の特徴は、ほとんどが徳島で撮影され、多くの地元の人たちがエキストラとして参加していること。ロケ中は、地域の人たちが出演者やスタッフに炊き出しをするなど、地域の人たちと一体となってできあがった映画です。
 地元の人たちの後押しに、映画づくりのプロたちも応えないわけはありません。池田町総合体育館で開催された先行上映会には、監督、藤さん、海東健さん、宮地真緒さんらが舞台挨拶に訪れ、その後も夏の阿波踊りや冬のオブジェに駆けつけてくれるなど、地元の人との交流が続いています。
 映画と同じあたたかい笑顔で訪れた人を迎えてくれた徳島県西部の人たち。この風景と笑顔に会いたくなったらいつもで戻っておいで、そう言ってホッとさせてくれる映画のロケ地でした。
村の写真集クリーム 映画を記念して「村の写真集クリーム」もつくられています



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