四国遍路道をゆく |
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四国四県をひとまわりする四国八十八ヶ所と遍路道は、空海の修行の跡を辿る信仰の道として、多くの人の行き来を見つめてきた道です。徳島県鳴門市にある第一番札所・霊山寺には、大型バスが着いたところで白衣に菅笠、同行二人と書かれた袋、金剛杖を手にしたお遍路さんでにぎわっていました。四国八十八ヶ所巡りは、徒歩のほか、大型バス、自家用車、バイク、自転車などさまざまな交通手段で巡ることができるのも特徴のひとつです。
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1番札所・霊山寺(徳島県鳴門市)
遍路熱ともいえるほど、四国八十八ヶ所巡りへの関心が高まったのは、ここ数年のことだといいます。心の時代、自己発見、健康づくりなどへの関心が高まるとともに四国をめざす人が増え、中高年層をターゲットとした旅行商品としても人気の高い旅先となっています。時を超えて再び注目が集まっている遍路道ですが、その多くは国道です。海岸沿いがあり、峠があり、歩道がついていない場所もあり、「遍路転がし」とまで呼ばれる坂道もあり、歩き遍路の人にとっては大変な行程です。
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海沿いをゆくお遍路さん(高知県)
道行そのものが修行と言われる遍路道ですが、そこは「いやしのくに 四国」。歩き遍路をもてなす地域の人々の心遣いがいたるところで見られます。道沿いの食堂や民宿には「お遍路さん、いらっしゃい」の看板、ふと目にした木々にはへんろみち保存会の道しるべ、道のちょっとしたスペースに設けられた手づくりのへんろ小屋。古くから訪れるお遍路さんを受け入れてきた四国の人々には「もてなしの心」があると言います。こうしたさりげない優しさとともに、畑仕事をしている人や、立ち寄った小物屋さんなどが親しげに声を掛けてくれる風土に心が癒されます。
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手づくりのおへんろ小屋(愛媛県宇和島市)
車で巡るもよし、バイクや自転車で巡るもよしの四国八十八ヶ所ですが、遍路道を守り続けてきた人々のぬくもりを感じるためには、やはり歩いて巡るに尽きます。遍路巡りを締めくくる香川県さぬき市・第88八十八番札所・大窪寺に向かう道には、地域の人々とお遍路さんがふれあう場「おへんろ交流サロン」があります。ここで館長さんの“歩く辞書”とも思えるほど豊富な遍路文化の知識を少し分けていただき、笑顔のお接待をうけました。遍路道を通じて「四国はひとつ」を体感できることは、大変貴重なこと。時代とともに変わっていくもの、変わらないもの、その両方を包み込んできた遍路道の旅でした。
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おへんろ交流サロン(香川県さぬき市)
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