【長崎県長崎市】
〜坂とチンチン電車の町〜
オランダ坂
居留地に住んでいた外国人が教会に通えるよう敷設されたという石畳。当時「オランダさんが通る坂」という意味で居留地にある坂はすべてオランダ坂と呼ばれていたという。
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長崎といえば、坂のまち。映画やドラマでも、オランダ坂をはじめとした石畳の坂が映し出され、情緒あふれるまちの大きな要素となっています。出島や中華街など、海に開けた市内の観光スポットに向けて急峻な山々がせまり、家はまるで山に貼り付いているかのようです。家々の間には細い路地や階段が縦横無尽に走っていて、迷路を歩いているような感覚になります。
一方、町中で市民や観光客の足として活躍しているのが「チンチン電車」こと路面電車。長崎電気軌道は本数も多く、観光スポットを巡るには最適の乗り物です。運賃は大人片道100円とお手ごろ価格!両替をお願いすると、袋に入った100円玉を手渡してくれるのも旅の風情です。2006年に開催された“日本ではじめてのまち歩き博覧会”「長崎さるく博’06」では、長崎をぶらぶら散策する楽しみを支える電車として多くの長崎ファンを運びました。
「つい数年前までは、この辺りの坂でも馬で荷物を運ぶ風景が見られたんですよ」と話してくれたのは、東山手洋風住宅群の中にある観光案内所の女性。これだけ坂が多いと高齢者の方は大変では?とお尋ねすると、「みんなお年寄りの方を背負って階段をあがったり、坂を上がったりするんですよ」とのこと。郵便局員などがおばあさんを背負って笑顔で話しながら坂を上がっていく…、そんな風景が日常生活の中で自然に見られるそうです。「若い人も荷物を持ってあげたり、手を引いてあげたり。坂のまちで暮らす上では当然と思っているのでしょうね」。
坂も“さるく”体験の楽しみとしてPRしている長崎の人々は、坂道の不便さ、大変さよりも、人の絆を深くするあたたかい道として大切にしているようです。
坂もチンチン電車も人とのふれあいを大切にしているからこそ、長く愛され続けている長崎のまちでした。
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市民と観光客に愛され続けるチンチン電車。 |
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長崎電気軌道株式会社の本社には博物館もある。 |
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映画のロケ地として最近では観光客も多いドンドン坂 |
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